AR技術を生かし、高精度で患者負担の少ない整形外科手術を実現する世界初の革新的取り組み

国立大学法人大阪大学大学院 医学系研究科 器官制御外科学(整形外科)

  • 用途
    • 業務変革
  • 業種
    • 医療
  • 導入したソリューション
    • NTT XR Real Support

取り組みの背景

変形矯正骨切り術とは、関節の骨の一部を切り、関節の向きを矯正したり、荷重バランスを矯正したりする手術です。従来の骨切り術では
①レントゲンと術野の目視確認が必要があり、医師の技術力に大きく依存すること
②関節の向きを修正する精度において、シミュレーション上で決定した切断箇所と実際に切断した箇所との位置誤差が10mm以下になり、切断する道具の入射角の角度誤差が10°以下となること
の2つの課題があります。

この課題解決のため、大阪大学では上肢骨折後変形治癒(変形した骨を矯正するために指定の角度で切断し、再度接着する手術)における新手法を構築しており、医師のスキルに依存せずに1mm1°以下の誤差という高精度を実現しています。具体的には、患者の骨のCT画像検査データを用いて事前に骨切りの入射角を決め、その入射角で切断を可能にする手術ガイド(専用の器具)を設計・製造することで、手術ガイドを骨に設置すれば医師がレントゲン等で目視確認をすることなく1mm1°以下という高精度に骨切りを行うことを可能にするというものです。

しかし、この手法では手術ガイドの製造に2ヶ月程度の時間がかかり、医師あたりの手術回数が従来手法に比べて少なくなる課題がありました。

引用::http://www.osaka-orthopaedics.jp/959/970/8070.html

サービス導入で実感している価値

物理ガイドをXR技術で代替えする世界初の試み

そこで、本手法は物理的な手術ガイドを用意することが問題であり、事前の設計データを用いてXR技術により代替することを考え、Project the Hands※1のような医療向けXR活用サービスを導入しました。
本取り組みにおける上肢骨折後変形治癒における手術ガイドのXR技術による代替の試みは世界初※2となります。

XRグラスとマーカによる高精度トラッキングで、骨切り断面をAR表示

事前設計データを用いてXRグラスに骨切り断面をAR表示することで、手術ガイドの実物が無くても高精度な骨切りを実現します。
高精度な切断面のAR表示には、術野の高精度なトラッキングが最も重要になります。共同研究では、このトラッキングのためにXRグラスとマーカを用いて行う手法を構築しました。
共同研究の成果を踏まえて、臨床現場での実用をめざして取り組みを進めております。1mm1°に近い精度の実現と、実際の手術中での利用を前提にしたシステム構築をめざして開発を行いながら、臨床試験に向けて精度実験を行なっております。

万博NTTパビリオンで「メタバース外科手術」のコンセプトを体験できる

大阪・関西万博のNTTパビリオンの関係者向け展示エリアにて、「メタバース外科手術」と題して展示いたしました。本ブースでは株式会社NTTコノキューデバイスのXRグラス「MiRZA®(ミルザ)」を用いたコンセプト体験が可能です。また、取り組み内容についての紹介を行います。

MiRZA製品ページ:https://www.xr.docomo.ne.jp/mirza/
*MiRZA®(ミルザ)は、コノキューデバイスの登録商標です。

お客様のコメント

本技術は、大型装置を必要とせず、放射線被曝の低減も可能であることから、手術の低侵襲化や作業効率の向上、さらには医療コストの削減といった多方面への波及効果が期待されます。とりわけ、地域や施設による医療格差の解消に貢献し、誰もが質の高い医療にアクセスできる環境の実現、すなわち「医療の均質化」に大きく寄与することが見込まれます。今後は、より実践的な環境下での検証を経て、整形外科手術への応用を進めてまいります。

  • 社名

    大阪大学整形外科

  • 大阪大学整形外科は、1945年の開講以来、80年以上の歴史を誇る日本有数の整形外科教室です。運動器疾患全般を対象とし、質の高い医療の提供と、次代を担う整形外科医の育成、そして世界をリードする研究開発を使命としています。 骨・軟骨・神経の再生医療や、難治性疾患の病態解明、AIを用いた診断・治療支援技術の開発など、基礎から臨床応用まで幅広い研究を推進。多くの医師が国内外で活躍しており、未来の整形外科医療を切り拓くための挑戦を続けています。